上田による機能評価12段階法とは？その評価方法と注意点（手指編）
上田による機能評価12段階法はブルンストロームの評価尺度を基礎にして、1977年に上肢および下肢の、1985年には手指の詳細な回復段階を示した評価尺度を考案したとされています。日本では脳卒中などの中枢神経疾患の障害に対しての運動機能評価法としてブルンストロームと上田の評価方法が定着しています。ここでは上田による機能評価12段階法の手指について評価方法や注意点をまとめましたのでご紹介いたします。
目次
テスト№1
テスト№2
テスト№3
テスト№4
テスト№5
テスト№6
テスト№7
テスト№8
テスト№9
テスト№1
種類：集団屈曲
出発肢位：前腕中間位、手関節は中間位（背屈位1/4までを含む）～掌屈位の範囲
（注1）中間位がとりにくい場合は、テスト者が軽く支えても良い。
手指伸展位（可能な限り）。
テスト動作：
判定：不能、ROMの1/4以下、1/4～3/4、3/4以上でで判定。
テスト№2
種類：集団伸展
出発肢位：前腕中間位
手関節は中間位（背屈位1/4以下までを含む）～掌屈位の範囲
（注1）前腕中間位がとりにくい場合は、テスト者が軽く支えても良い。
手指伸展位（可能な限り）。
テスト動作：
判定：不能、ROMの1/4以下、1/4～3/4、3/4以上でで判定。
テスト№3
種類：手関節背屈
出発肢位：手指屈曲位、前腕中間位
（注1）手指屈曲は3/4以上であればよく、肘の机の上につき、手部は机の面から少し浮かして行う。
テスト動作：
判定：ROMの3/4未満、3/4以上で判定。
テスト№4
種類：四指屈曲位での示指伸展
出発肢位：前腕中間位
全指屈曲位（ROMの3/4以上）
手関節は中間位（背屈位1/4以下までを含む）～掌屈位の範囲
（注1）母指・Ⅲ～Ⅴ指の屈曲は、3/4以上に自力で保っていることが条件。途中で3/4以下になる場合はならない範囲で判定する。
（注2）母指は屈曲していれば、その位置は問わない。
テスト動作：
判定：ROMの3/4未満、3/4以上で判定。
テスト№5
種類：MP伸展位でのIP屈曲（背屈位）
出発肢位：前腕中間位
手関節背屈（ROMの1/4以上）
MP伸展（ROMの3/4以上）
（注1）母指の位置は自由とし、判定には含めない。
テスト動作：
判定：ROMの3/4未満、3/4以上で判定。
テスト№6
種類：四指屈曲位での示指伸展（背屈位）
出発肢位：前腕中間位
全指屈曲位（ROMの3/4以上）
手関節背屈（ROMの1/4以上）
（注1）母指は屈曲していれば、その位置は問わない。
テスト動作：
判定：ROMの3/4未満、3/4以上で判定。
テスト№7
種類：四指屈曲位での小指伸展（背屈位）
出発肢位：前腕中間位
全指屈曲位（ROMの3/4以上）
手関節背屈（ROM1/4以上）
（注1）母指は屈曲していれば、その位置は問わない。
テスト動作：
判定：可能か不可能かで判定。
テスト№8
種類：スピードテスト
テスト動作：鉛筆を机の上からⅠ、Ⅱ指の指腹つまみで5回（2～3㎝程度）つまみあげて離す。
5回で判定しにくい場合は、10回行わせて計測する（ストップウォッチで秒単位に小数点1桁まで測定）。
（注1）まず非麻痺側で行わせて正しいやり方を教えてから麻痺側で行わせる。
（注2）Ⅲ～Ⅴ指は3/4以上屈曲位に保つことを条件とする。
判定：不十分、十分で評価。
テスト№9
種類：連合反応
テスト動作：非麻痺側に握力計を持たせ、最大限に握らせたときに、麻痺指の屈曲が起こるかどうかをみる。
麻痺側の位置は自由（膝の上、体側など）
判定：連合反応の有無を評価。
【参考文献】
編 細田多穂・柳澤健（2010）『理学療法ハンドブック-第1巻 理学療法の基礎と評価』協同医書出版社.
住所：香川県高松市桜町2丁目15-46 チェリータウン101
電話：087-802-1290
脳梗塞リハビリSSP高松
理学療法士 井上
