脳卒中後の痙縮とリハビリテーション②

こんにちは。脳梗塞リハビリSSP高松、理学療法士の井上です。以前脳卒中後の痙縮とリハビリテーションについてお話させていただきました。今回も痙縮に対する概要を少しお話した後、前回の補足事項など痙縮筋の特性や絵痙縮に対する治療などお話していきたいと思います。

目次


痙縮とは

痙縮の原因

痙縮に対する治療

痙縮に対するリハビリテーション

-痙縮筋の特徴

-痙縮筋の筋力強化

脳梗塞リハビリSSP高松でできること


 

 

痙縮とは

痙縮は脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、頭部外傷や脊髄損傷などの疾患によって生じ、腱反射亢進を伴った緊張性伸張反射(筋緊張)の速度依存性増加を特徴とする運動障害で、伸張反射の亢進の結果生じる、上位運動ニューロン症候群の1徴候と定義されています。

 

痙縮の原因

人間の運動神経には大きく分けて上位運動ニューロン(脳から脊髄までの中枢神経)と下位運動ニューロン(脊髄からの筋肉までの末梢神経)に分かれます。痙縮は脳卒中や頭部外傷などによって上位運動ニューロンが傷つくことで生じてきます。また、二次的に筋肉の粘弾性が変化することにより病態を複雑にしているという報告もあります。

 

痙縮に対する治療

痙縮に対する治療として、脳卒中治療ガイドライン2021では脳卒中後の上下肢痙縮を軽減させるために、ボツリヌス毒素療法は強く推奨されています。ただし、訓練を継続して併用することが重要とされているため、ボツリヌス毒素療法単独での推奨ではないことを記載しております。また、フェノールによるブロック注射や装具療法も推奨されており、装具療法に対してもボツリヌス毒素療法と併用することが有効という報告も記載されています。

 

痙縮に対するリハビリテーション

痙縮に対するリハビリテーションはいくつかありますがここでは痙縮筋の筋力強化についてお話していきます。

-痙縮筋の特徴

痙縮筋の特徴はいくつかありますが、その一つとして、痙縮により麻痺側の肘が曲がっている方は良くみられます。肘が曲がりやすくなっていると、肘を伸ばそうとしても思ったように伸びないことが多くあると思います。しかし、肘を伸ばす際は、痙縮筋の活動がより高くなっているわけではなく、肘を伸ばす筋力の活動が著しく低かったという報告があります。そして、対策としては痙縮の活動を減らしていくのではなく、肘を伸ばす筋力強化を行うべきと述べていました。また、肘を伸ばす際には拮抗する筋肉が抑制されるメカニズムがあるため痙縮により肘が曲がっていても肘を伸ばす運動により痙縮が減弱する場合もあります。

-痙縮筋の筋力強化

痙縮筋は筋肉内に筋肥大を抑制する物質が多くなっていることが研究によって明らかになってきています。脳卒中患者を対象とした筋力増強の研究では、強負荷(一回しかできない負荷)で12週間、週3回抵抗運動を行った結果、筋肥大が認められ、筋力も増強した。また、筋肉内の筋肥大を抑制する物質の減少も見られたという報告があります。これらの事も含め、脳卒中後の筋力低下は二次的な要因も大きく、麻痺側をより使用し筋収縮を促すことは重要だと考えます。やみくもに動かすのではなく適切な方向に動かし狙った筋肉を使っていくことがリハビリのポイントだとと考えます。

脳梗塞リハビリSSP高松でできること

ここでは、カウンセリングを通してご利用者様のご要望を聞き、それぞれに合ったプランを提供しております。病院などでは制度上の問題もあるため、更衣動作やトイレ動作などの動作訓練が多くなってしまします。歩行中の手の痙縮が気になる。。。や、足をもっと真っすぐ出して歩けるようになりたい!などの機能的なお悩みはもちろん、もっともっと歩けるようになりたい!旅行に行けるようになりたい!!などのお悩みも是非お気軽にご相談ください!

住所:香川県高松市桜町2丁目15-46 チェリータウン101
電話:087-802-1290
脳梗塞リハビリSSP高松
理学療法士 井上

【参考文献】
①正門由久.(2013).「痙縮の病態生理」.Jpn J Rehabil Med 2013;50:505-510
②内山卓也・吉岡宏真・布川知史・加藤天美.「痙縮の疫学と治療」.Jpn J Neurosurg Vol,26 no12 2017.12 pp.882-891.
③石濱裕規.(2018).「痙縮に対する薬物療法とリハビリテーション」.バイオメカニズム学会誌,Vol.42,No4.pp205-210.
④白谷智子.(2018).「痙縮筋の筋力強化」.バイオメカニズム学会誌,Vol.42,No4.pp225-230.