脳卒中リハビリにおける予後予測の重要性|データに基づく改善策とは?
こんにちは!脳梗塞リハビリSSP高松、理学療法士の井上です。
4月も残すところあと1日!1周年も迎え少し落ち着いたところで今回は予後予測について少しお話していきたいと思います。
目次
【予後予測とは】
【予後予測の必要性】
【脳卒中の合併症の予後予測】
-入院中の合併症
-発症から約6ヶ月
-半年から1年間
【脳卒中再発の可能性】
【脳卒中の予後予測】
【上肢機能の予後予測】
【歩行能力の予後予測】
【最後に】
【予後予測とは】
現代のリハビリテーション医療では治療期間の短縮化が進んでおり、また治療にもエビデンスが求められています。そのためには予後予測を行うことでより安全なリハビリテーションの提供が行われるため今ではほとんどの医療機関で行われるようになっています。
【予後予測の必要性】
脳卒中発症後にはほとんどの場合リハビリテーションが行われます。このリハビリテーションを開始するにあたって、医療チーム内での目標設定を共有しリハビリテーションの内容を設定するために必要になってきます。また、「脳卒中治療ガイドライン2009」においても脳卒中予後予測が推奨されています。
【脳卒中の合併症の予測】
脳卒中発症後では様々な合併症のリスクが伴います。また時期別でも起こりやすい合併症が異なるため、ここでは時期別に一部ご紹介させていただきます。
-入院中の合併症
入院中では尿路感染症や肺炎などの感染症や褥瘡が多いという報告がされています。
-発症から約6ヶ月
この期間ではうつ症状や不安などの心理的な変化が大きくみられていることが報告されています。
-半年から1年間
この時期でも入院中と同様の尿路感染症や肺炎などが多く、転倒やうつ症状も多くみられています。
大きく3つの期間に分けましたがどの時期においても感染症や転倒、疼痛、心理的症状が多くみられており、嚥下障害や排尿障害、運動麻痺や感覚障害が大きく関わっている可能性があります。また脳卒中発症後は再発の可能性もあります。次は再発について少しお話したいと思います。
【脳卒中再発の可能性】
脳卒中は動脈硬化を基礎とする疾患であるとされています。また、発症した病巣以外の部位も動脈硬化を生じている可能性が高いため再発しやすい疾患です。再発率としては発症後30日以内では3.1%、1年で0.9%、5年で0.4%、10年で0.3%と発症から30日以内が最も多いという報告がありました。
【脳卒中の予後予測】
脳卒中発症後の予後予測の必要性はお話ししました。ここでは時期別での予後予測のご紹介をしていきたいと思います。
脳卒中発症時のNIHSSを用いることで3か月後のmRSを予想できるという報告がありました。内容としては発症から3日以内に入院した患者さんのNIHSSと、発症後3ヶ月の予後(mRS0~2を良好とする)との関連を調査している内容でした。結果は、損傷が前方循環(前頭葉や頭頂葉、側頭葉を中心とした還流領域)の患者さんで8点、後方循環(後頭葉や小脳、脳幹を中心とした還流領域)の損傷の患者さんで5点以上であれば3か月後の予後が良好の予測ができるとの事でした。
【上肢機能の予後予測】
次は上肢機能の予後予測についてお話していきたいと思います。上肢機能に関する研究では、発症後6ヶ月の上肢機能を、発症後72時間以内の状態で比較したものがあります。結果は、①MI(Motricity Index)の肩の外転が9点以上、②Fugl-Meyer Assessmentの手指伸展が1点以上の2つが発症6ヶ月後の上肢機能予後を最も反映していたと報告があります。簡単に言い換えると発症後72時間以内に肩が少し開いて、指が少し開くと6か月後の上肢機能は比較的良好ということになります。
【歩行能力の予後予測】
歩行能力の予後予測としては、発症後72時間以内の①TCT-s(Trunk Control Test-sitting)が25点以上、②麻痺側下肢のMIの下肢3項目が25点以上の2つを満たせば発症後6ヶ月の歩行機能は比較的良好であると報告があります。評価内容を簡単に言い換えると、発症後72時間以内に30秒以上の座位保持ができて、下肢の3関節全てが少し動く、もしくは下肢の1関節でも比較的強い筋力があれば6か月後の歩行は比較的良好ということになります。
【最後に】
脳卒中の予後予測として発症から3日以内の状態で半年後の状態をデータに基づいてお話してきました。脳卒中発症後、入院中にリハビリを行い、退院後は外来リハビリや介護保険を利用したリハビリに切り替わります。入院中はほぼ毎日リハビリを行うことが出来ますが、退院後は週に2~3回の頻度となり1回あたり30分前後のリハビリのためもっとリハビリをしたい!と思う方は多いのではないでしょうか?入院中ではお身体の改善が目覚ましく、もっともっとリハビリして改善していこうと思った矢先、退院になってしまったというご経験をされた方もいらっしゃると思います。そのようなご経験の背景としては制度上の問題がほとんどです。医療費などの社会保障費は制限がつきものです。入院は期限があり、外来や介護保険では上限があります。SSP高松は、香川県では初の保険外の脳梗塞リハビリ事業所としてオープンから1周年を迎えました。「退院後が不安」や「今のリハビリでは物足りない」などお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
※評価表についてはこちらをご参照ください
・NIHSS
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脳梗塞リハビリSSP高松
理学療法士 井上