進行性核上性麻痺とリハビリテーション
こんにちは、脳梗塞リハビリSSP高松の井上です。
突然ですが指定難病という言葉を耳にしたことはありますか?現在ではパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症など様々な疾患が指定難病として登録されております。その中で、進行性核上性麻痺もその一つになります。今回はその進行性核上性麻痺についてお話させていただきます。
【目次】
【進行性核上性麻痺とは】
【パーキンソン症候群(パーキンソニズム)とは】
-安静時振戦
-筋強剛
-無動
-姿勢反射障害
【利用できる支援制度について】
-医療費助成制度
-傷病手当金
-障害者基礎年金
-障害厚生年金
-特別障害者手当
-身体障害者手帳・精神障害者手帳の交付による税金控除、公共料金減免などのサービス
-介護保険サービス
-障害福祉サービスや地域生活支援事業
-日常生活自立支援事業
-成年後見制度
【転倒および外傷の頻度とその特徴】
【転倒に対する対策】
-排泄や入浴時は目を離さず見守る
-トイレは予め決まった時間を設定し誘導する
-声掛けは念入りに行う
-使用頻度の高い物は整理して一カ所にまとめる
【患者様、ご家族様に対する指導】
【転倒防止に対するリハビリテーション】
【保険外リハビリサービスとは】
【脳梗塞リハビリSSP高松とは】
【脳梗塞リハビリSSP高松の特徴】
【進行性核上性麻痺とは】
進行性核上性麻痺の特徴として男女差については一定の見解は得られていない状況となっており、発症年齢は70歳台前半が平均となっています。
病態機序として、易転倒性、眼球運動障害、パーキンソニズム、認知機能障害、絵嚥下機能障害、自律神経障害などが見られこれらをリチャードソン症候群と呼びます。
運動症状としては早期からの姿勢反射障害と後方への転倒、体軸性の固縮、構音障害、嚥下障害、眼球運動障害などがあります。非運動性としては健忘、思考の緩慢、アパシーやうつを含む皮質下性認知症、前頭葉徴候、進行性非流暢性失語、大脳皮質症状、自律神経障害(軽度の起立性低血圧、過活動膀胱、睡眠障害など)が見られます。
【パーキンソン症候群(パーンキンソニズム)とは】
パーキンソン症候群とはパーキンソン病に似た症状であり、安静時振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害などの症状が見られます。パーキンソニズムをきたす疾患でパーキンソン病以外のものをパーキンソン症候群といいます。同じパーキンソニズムでもパーキンソン病の症状と、パーキンソン症候群とでは様々な違いが見られます。また、パーキンソニズムという言葉を同様の意味で用いることもあります。
-安静時振戦
安静時振戦とはじっとしているときにふるえ(振戦)が生じますが、動作を行うことでそのふるえは消失するのが特徴です。これは、パーキンソン病では初期症状として見られることがと特徴的ですが、パーキンソン症候群で見られることは稀です。
-筋強剛
筋強剛では筋肉の緊張が亢進するため、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れてしまい、関節が受動運動に対して抵抗してしまいます。また、固縮とも呼ばれており受動的に曲げようとすると最後まで一定の抵抗が見られる鉛管現象と、抵抗が断続的にみられる歯車現象の二つが特徴的です。
-無動
無動とは動作が乏しくなったり、ゆっくりになったりすることをいいます。無動はパーキンソン病の中核症状で、動作の開始に時間がかかる点が特徴的です。また、他にも無表情になり、一点を見つめるようになったり、声が小さくなる、書字がだんだん小さくなることも無動による症状といわれています。
-姿勢反射障害
姿勢反射障害では体の位置の変化に対応して筋肉を収縮してバランスをとり、姿勢を立て直す機能が障害されます。このため、首を前方に突き出し、上半身がまえかがみになり、膝を軽く曲げた前傾姿勢をとるのが特徴です。倒れる際は体が棒のようにそのまま後ろに倒れるか、後ろに小刻みに歩きだしてしまうことがあります。
パーキンソニズムはこれらの症状が見られますが疾患によってはみられにくい症状もあります。
【利用できる支援制度について】
ここからは、進行性核上性麻痺などの難病に罹患することで利用できる支援制度がいくつかありますので簡単にご紹介いたします。
・医療費助成制度
・傷病手当金
・障害者基礎年金
・障害厚生年金
・特別障害者手当
・身体障害者手帳・精神障害者手帳の交付による税金控除、公共料金減免などのサービス
・介護サービス
・障害福祉サービスや地域生活支援事業
・日常生活自立支援事業
・成年後見制度
などがあります。
-医療費助成制度
進行性核上性麻痺は国が定める指定難病にあたり、特定医療費の支給対象となっています。特定医療費とは、指定医療機関が指定特定医療を行った場合に、それに要した費用に対して支給される公費の事です。特定医療費の支給認定を受けた場合は、指定医療機関での窓口負担が、所得に応じて定められる自己負担上限額までとなります。申請手続きには申請書とともに指定医が作成した診断書が必要となります。
-傷病手当金
傷病のために業務につくことができない場合、療養中の生活保障として、最長1年6ヶ月間、労務不能一日につき標準報酬日額の3分の2の額の傷病手当が支払われます。
-障害者基礎年金
国民年金に加入している間に傷病の初診日があり、且つ、初診日から起算して1年6ヶ月を経過した段階で法令により定められた障害等級が1級、2級に該当する場合に支給されます。
-障害厚生年金
傷病の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中で、その傷病による障害等級が1級、2級に該当した場合に、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。
-特別障害者手当
精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時特別介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の者である場合に、障害特別手当が支給されます。
-身体障害者手帳・精神障害者手帳の交付による税金控除、公共料金減免などのサービス
障害者手帳交付により受けられるサービスには、全国一律に受けられるサービス(税金の控除、自動車税及び自動車取得税の軽減、公共料金の減免、NHK受信料減免、生活福祉資金貸付制度)と、地域及び事業者によって受けられるサービス(鉄道・バス・タクシーの運賃割引、携帯利用料金・上下水道料割引、公共施設の入場割引、福祉手当・生活保護の障害者加算、公営住宅の優先入居)があります。
-介護保険サービス
要支援、要介護状態にあると認定された65歳以上の高齢者は原因を問わず介護保険の給付を受けて介護保険サービスを利用することができます。また、特定疾病に該当する場合には65歳未満でも40歳以上であれば介護保険サービスを利用することができます。
-障害福祉サービスや地域生活支援事業
指定難病の診断を受けた18歳以上の人は、一定の障害があれば、障害者手帳の有無にかかわらず利用することができる。障害福祉サービスとは障害程度や勘案すべき事項をふまえ、個別に支給決定が行われるサービスです。介護給付と訓練等給付があり、前者には住宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障碍者等包括支援、短期入所、療養介護、生活介護、障害者支援施設などでの夜間ケアなど、共同生活援助があり、後者には自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助があります。
-日常生活自立支援事業
認知症、知的障害、精神障害などのために判断能力が十分でなく、自分一人で福祉サービスの利用契約が困難な場合には、本人との契約に基づいて、福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、書類などの預かりサービスなどの支援を行うサービスを利用することができます。
-成年後見制度
認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない人に対して、本人の権利を守る援助者を選任し、財産管理や身上監護に関する契約などの法律行為全般を支援する制度です。
簡単ではありますが以上が利用できる支援制度になります。お問い合わせに関しては市区町村などで受付しております。
【転倒および外傷の頻度とその特徴】
進行性核上性麻痺では姿勢反射障害・転倒が早期から出現しており、他の疾患との鑑別においても重要とされています。また、ほぼ全例に転倒が生じており、転倒頻度が多いとされています。外傷や骨折についても他の変性性パーキンソニズムに比べても高頻度と報告されています。
【転倒に対する対策】
進行性核上性麻痺の転倒を減らすための有効な方法は現時点では定められていませんでした。しかし、転倒の要因として、排泄や物をとろうとしての転倒が多いと報告されています。そのため、転倒予防するためのポイントは、
・排泄や入浴時は目を離さず見守る
・トイレは予め決まった時間を設定し誘導する
・声掛けは念入りに行う
・使用頻度の高い物は整理して一カ所にまとめる
などの対策により予防することが重要になります。
次に具体的な対策をあげていきます。
-排泄や入浴時は目を離さず見守る
浴室では床が濡れているため滑りやすくなっており、せっけんやタオルをつかもうとして転倒するケースがあります。トイレでは排泄後に下着を上げて立ち上がろうとした際にバランスが崩れ転倒に至るケースがあるため、極力見守りを行う事をお勧めします。
-トイレは予め決まった時間を設定し誘導する
排泄行動がきっかけで転倒に至る場合が多くみられます。おむつやトレーニングパンツを着用していても排泄物により汚れれば不快で自ら外そうとしたり、衝動的にトイレに行こうとすることがあります。そのため、排泄チェック表などを活用し、排泄のパターンを把握し早めのトイレ誘導を心がけることが重要です。
-声掛けは念入りに行う
姿勢が不安定であるにもかかわらず、周囲の環境に影響されて行動する傾向があります。トイレの時などの動作を行う際は毎回声掛けを行う事が重要です。
-使用頻度の高い物は整理して一カ所にまとめる
リモコンや食卓で使うものなどを落とし拾おうとして頭から転倒・転落する場合があります。リモコンなどは紐で結んでおいたり、気を引きそうな物は、安全に取ることができる場所にまとめるか、見えない場所に片付けることが重要です。また、最近ではスマートリモコンなども活用することで自宅内のリモコンを統一化し転倒リスクの軽減が図れる可能性があります。
【患者様、ご家族様に対する指導】
様々な疾患において患者様本人やご家族様に対する指導などは病院や施設などでもよく見受けられます。進行性核上性麻痺については確立されたものはありませんが、基本的には疾患に対する情報を共有し、具体的な指導内容としては転倒・外傷予防方法、摂食方法、体位、便秘予防などが中心となっているそうです。
【転倒防止に対するリハビリテーション】
では現在のリハビリテーションで転倒防止が図れるかについてお話させていただきます。結論から申し上げますと、現時点での転倒防止に対するためのリハビリテーションの有用性は十分に検討されていない状態となっています。しかし、単一症例のみにはなりますがリハビリテーションにより転倒が軽減したとの報告があります。
内容としては部分免荷式トレッドミルトレーニングを行ったリハビリテーションでは、一時間半のトレーニングを週三回合計8週間行った症例では介入後の転倒回数が減少したとの報告があります。一方で、5分程度のトレーニングを2週間で8回行った報告では、転倒頻度は一時的に減少したものの介入終了後には介入前の頻度に戻っていたとの報告もあります。また、転倒は突然バランスを失って起こるため、歩行の際は通常よりも重たい歩行補助具などにつかまって歩くことが勧められています。
【保険外リハビリサービスとは】
保険外リハビリサービスとは介護保険や医療保険などの公的サービスを一切使用せず利用者様の10割負担で行うリハビリサービスです。
上記でもお話させていただいたリハビリ内容ですが、5分間より1時間半のトレーニングの方が高い効果が得られやすいですが、医療保険制度であれば限られた時間内でのリハビリとなってしまいます。しかし保険外のリハビリであればリハビリのボリュームも設けられて、且つ、国家資格保有者とマンツーマンで行うため質の高いリハビリが受けられるのが特徴です。
【脳梗塞リハビリSSP高松とは】
全国的に保険外リハビリサービスが増えている中、香川県を含め四国内ではそういったリハビリサービスはインターネット検索でほとんどヒットしませんでした。しかし、今年3月に香川県では初となる脳梗塞特化型リハビリ事業所が高松市桜町にオープンいたしました。ここでは、保険サービスでは物足りない方や年齢によって介護保険などを利用できない方、職業復帰に向けて訓練など行っているがなかなか良くならない方なども目標達成に向けてとことんリハビリを行う事ができます。現在は脳卒中の方以外にも交通事故後の脳挫傷や難病の方など幅広い疾患の方々のリハビリに励んでおります。
【脳梗塞リハビリSSP高松の特徴】
最後に脳梗塞リハビリSSP高松の特徴といたしまして3つご紹介させていただきます。
-一回120分間、完全マンツーマン制のリハビリサービス
保険外サービスのメリットを最大限に活用していただくために、1回のリハビリを120分に設定し、改善を目的とした集中的なトレーニングを実施しております。
-専門リハビリ+自宅リハビリのWサポート
当施設に来所して行う専門的なリハビリに加え、日々のトレーニングとして在宅で行う宿題リハビリをご提案いたします。ご利用者様の生活習慣やご自宅のスペースにも配慮してレクチャーいたします。
-経験豊富な国家資格保有者
病院でのリハビリテーションの臨床経験と知識が豊富なリハビリ専門の国家資格者が対応いたします。
これらにより保険内では難しいリハビリの量と質を確保することで短期的かつ集中的に改善を目指します。
SSP高松では、日常生活でのお悩みを共有させていただくことで、それぞれに合ったプランをご提供いたします。また、どれくらいの期間でどこまで改善できるかをご案内いたしますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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理学療法士 井上