特別全国障害者スポーツ大会①

こんにちは、脳梗塞リハビリSSP高松の井上です。
11月も終わりに差し掛かり今年もあと一ヶ月ほどとなりました。そんな中、先月の下旬に鹿児島県で全国障害者スポーツ大会が開催されました。そこに選手団のサポートとして同行させていただきましたので今回はその内容を少しお話させていただきます。

【目次】


・全国障害者スポーツ大会とは

・全国障害者スポーツ大会の目的

・全国障害者スポーツ大会の歩み

・燃ゆる感動かごしま大会

・障害者スポーツ大会種目

・今大会参加の経緯

・選手紹介

・移動日のサポート

・練習、本番でのサポート

 -階段昇降

 -会場でのサポート

 -6年ぶりの挑戦


 

【全国障害者スポーツ大会とは】

全国障害者スポーツ大会は毎年、国民体育大会を開催した都道府県で開催される、全国的な障害者スポーツの祭典です。大会は3日間の会期で行われ、全国から都道府県・指定都市選手団約5,500人(選手約3,500人,役員約2,000人)が参加します。競技は個人7競技、団体7競技の計14正式競技と、正式競技の他にオープン競技が実施されます。

【全国障害者スポーツ大会の目的】

全国障害者スポーツ大会は、障害のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに、多くの人々が障害に対する理解を深め、障害のある人の社会参加を推進することを目的として開催されています。

【全国障害者スポーツ大会の歩み】

全国障害者スポーツ大会は、平成12年まで別々に開催されていた「全国身体障害者スポーツ大会」と「全国知的障害者スポーツ大会」を統合し、平成13年に第1回大会が宮城県で開催されました。

【燃ゆる感動かごしま大会】

今回は燃ゆる感動かごしま大会というキャッチフレーズで大会が開催されました。今大会は「特別全国障害者スポーツ大会」ということで本来であれば、2020年に鹿児島で開催される予定でした。しかし、コロナ渦の影響などによりかごしま大会だけでなく2019年~2021年の3大会は予定通り開催されることはありませんでした。そんなコロナ渦を経て昨年、4年ぶりに栃木県で「いちご一会栃木大会」が開催されました。今年は延期になっていたかごしま大会が先月の10/28~10/30まで開催されました。

【障害者スポーツ大会種目】

今大会の種目は大きく分けて15種目あります。大まかな種目としては陸上競技、水泳、アーチェリー、卓球、フライングディスク、ボウリング、ボッチャ、バスケットボール、車いすバスケットボール、ソフトボール、グランドソフトボール、バレーボール、サッカー、フットソフトボール、オープン競技になります。その中で、今回はフライングディスクの選手団のサポート係として同行させていただきました。

【今大会参加の経緯】

もともと私は理学療法士として勤務を始めた年に、ある方との出会いがきっかけで障害者スポーツに興味を持ちました。そこから障がい者スポーツ指導員という資格を取得し障害者スポーツに携わる機会が増えました。そして今年のかごしま大会参加のお声をかけていただいたことがきっかけでした。

【選手紹介】

香川県のフライングディスクの代表メンバーは合計4名。そのうち主に私がサポートさせていただいたAさんは、脳卒中後の後遺症により運動や感覚の麻痺(まひ)が身体の半分に出現している片麻痺といわれる症状がみられる方でした。日常的にはほとんど車いすで移動されており、着替えやトイレ、入浴などの生活動作では介助が必要な方でした。歩行動作に関しては短い距離の移動は可能ですが麻痺側の足には装具を装着し四点杖を使用し歩行している状態となっていました。

【移動日のサポート】

移動中のサポートとしては主に車いす介助、階段昇降、車いすから座席への乗り移り介助でした。
移動日当日の午前9時に香川県庁にて結団式が行われ、その後はバスに乗って岡山駅まで移動します。バスへの乗り降りは階段が非常に高く、片麻痺の方にはかなりの難易度となる場合がありますが、今回はバリアフリーとなっており車いすでの昇降が可能なタイプとなっていました。無事にバスに乗ることができ移動。岡山駅に到着後も車いすメンバーは順々に降車していました。Aさんは順番が最後だったので皆さんが降りるところを見届けた後、ようやく順番が回ってきました。しかし、順番が回ってきたとたん、昇降機がうんともすんとも言わなくなり全く作動しなくなったのです。焦るなかAさんに階段から降りられるか確認、Aさんからはデイサービスでばっちり練習したと、心強いお言葉。念のため介助ベルトを装着し体幹を支えながら、いざ降段。片麻痺の階段昇降はセオリーがあり足の出す順番が重要となります。脳卒中後の後遺症で認知機能が低下してしまうと手順が定着しない場合があります。しかし、Aさんは手順もばっちり、足の運びもスムーズ、手すりをしっかりと握り安全に降りられて無事岡山駅に到着。その後は新幹線で岡山駅から鹿児島中央駅まで移動し、そしてバスに乗り換えホテルまで移動しました。本日2回目のバスは昇降機がなく乗り降りは階段で行いましたが、昇段時の手順も問題なく一段一段安全に行えておりました。デイサービスのご担当者様特訓の成果が出ておりました!ありがとうございました!!
ホテルについてからはバイキング形式の食事のため車いす自走にて食べ物を選んでいただき、準備のお手伝いをさせていただきました。入浴に関しては移動の疲れもあったため、足のみを洗うことになりました。それ以外の身体の部位は濡れタオルでほぼご自身で清拭を行いパジャマへと更衣を行いました。翌日は大会直前の最終練習があり、移動の疲れをとるため早めの就寝。夜間のトイレは尿器で行えるため準備のみ行い消灯となりました。

【練習、本番でのサポート】

-階段昇降

翌日は8時起床、着替えなどを行いすぐに朝食へ向かいます。昨日同様バイキング形式のため準備セッティングを実施。食事を済ませ10時ごろにホテルを出発。鹿児島での移動は全てバスのためバスの入り口にある階段は毎日昇降するようになりました。回数を重ねるごとに動作がスムーズになっており途中からは触れる介助もなく動作を行えていたため、ただただ感心しながら見させていただいておりました。

-会場でのサポート

そして練習会場では主に車いす移動の介助とトイレ動作の見守り。トイレ動作は安全に行えていましたが、慣れない環境などを考慮し見守りで実施。また、フライングディスクは屋外で行われるため天候にものすごく左右されます。特に風は勝敗を大きく分ける可能性があるため、風向きや風速の確認や本番当日の風向きなども確認し、それを想定した練習も行いました。風の影響があり皆さん苦戦する場面も見られましたが無事練習も終わってホテルに戻りいよいよ本番を迎えるのみとなりました。

-6年ぶりの挑戦

食事を済ませた後、Aさんに入浴の確認すると明日から本番のためゆっくり浴槽に浸かりたいとご希望がありました。そこで大浴場で入浴を行う事を提案したところ少し戸惑っていた様子でした。それもそのはず、半身麻痺になってから自宅の浴室どころか現在はデイサービスで機械浴を利用しているそう。しかし、お身体の状態、ホテルの大浴場や脱衣場の環境、他のサポートメンバーの協力が得られる事をAさんにお話しすると入ってみたい!とその気になっていただきました。脱衣所では介助にて衣服を脱ぎ装具を装着したま車いすで浴室へ移動。洗い場にシャワーチェアーをセッティングし、そちらに移っていただきました。移乗の際は足元が滑らないように滑り止めマットを使用、また身体を支えるためにベルトを装着していただくことで安全に移乗が行えました。清拭動作は一部介助を行いましたが概ねご自身で実施。そして清拭動作を終えいざ浴槽へ。浴槽への移乗は手すりがあるので手すりをしっかりと握り、装具、滑り止めマット、介助ベルトを使用。立ち上がってからゆっくりと方向転換を行い、浴槽の縁へ座りました。そこから一足ずつ浴槽縁をまたぎ足から湯船につかり何とか浴槽内への着座もできました。大浴場での入浴は約6年ぶりとの事!久々の入浴に感動と達成感を味わうことができました。しっかりと身体が温まったところで大浴場を後にし、明日の準備のため部屋に戻りました。

続く

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理学療法士 井上